ハゲ山復旧工事の手法のひとつなんですが、なかなか興味深いです。
「土と水を考える」
http://soilandwater.blog.so-net.ne.jp/
http://soilandwater.blog.so-net.ne.jp/2009-06-24
ハゲ山復旧といえばとりあえず思い浮かぶのは植林ですが、ホフマンさんの方法は、崩壊している山の斜面には手を加えず渓流の安定を図り植生が自然に進入してくるのを待つというものです。工法としてはオーストリアやフランスなどヨーロッパ地方で広く用いられていたものだそうです。
調べてみたところ、下記のサイトで愛知県で明治38年に行われた事例について解りやすく紹介されていました。
森林の荒廃と復旧の歴史について
http://www005.upp.so-net.ne.jp/nemurihime/Kikouhyou/Hofmann/kouhaitofukkyuu.html
ホフマン工事について
http://www005.upp.so-net.ne.jp/nemurihime/Kikouhyou/Hofmann/hofman.html
生物調査・環境調査では二次林や植林地に入ることも多いと思いますが、ホフマン工事かどうかに関わらず、その森が出来る過程を知っていると調査対象とする系を理解しやすいだろうと思います。
ホフマン工事についての詳しい話は、上記サイトをみていただくとして、その中の本題からそれた部分で気になったのは以下。
このホフマン工事にかかった費用についてですが、これは竣工設計書というものが、残っておりまして、それによれば、2,566円16銭3厘となっております。現在のお金に直すと、1700万円位ではないかと、考えられます。当時は、業者に発注するのではなく、県が地元の人を直接雇って実施しております。先人達の努力と地元の方々のご協力には頭が下がる思いであります。
県が地元の人を直接雇って実施していたとのことですが、かつての役人は、そういうことが出来る技能の持ち主であったということのひとつの現れでしょう。時代がかわったといえばそれまでですが、今の役人は見積りひとつ出すにしても業者の力がなければ出来ないわけですから、ずいぶんと役人のやるべき仕事、やれる仕事というものが変わってきています。
生物調査・環境調査においては、専門家である調査者が現場の事情や状況にあわせて判断し行動を決められるならばもっといい成果をあげられるだろうに、という場面が多々あります。調査対象に対する理解がないばかりか現場すら見ずに作られることも少なくない仕様書という書類に、調査の中身がきつくしばられているからです。こんなことも、役人の役割がかわってきたという流れと無関係ではないと思います。